花の吉野山放浪記

平成13年04月07日・08日 

吉野山

        
      人  こ  
      つ  え  
      て  ぬ  
      の  ま  
      み  は  
      に  吉  
      聞  野  
      き  の  
      わ  山  
古     た  の  
今     る  桜  
集     か  花  
・     な     
紀           
貫           
之           
            

04/06
22:00

東京駅から、奈良行きの夜行バスに乗車。 
奈良へ行くには、夜行バスに限る。 新幹線では奈良着9時を過ぎ、吉野の山に着く頃にはお昼になってい、その日の行動時間が限られてしまうからだ。
春の夜はさむい。 革のジャケットで正解だった。
23:30


04/07
00:00


車内消灯。 おやすみなさい・・・

♪ ピロピロリィ〜 ♪
誰ぞの携帯電話の着メロ。
寝ていた人たちがモソモソと動き出す。 
「電源切っとけ!」のつぶやきが背後から洩れる。
06:45



08:15




09:20

JR奈良駅到着。 7時半予定なのだからだいぶ早い。 JR経由して吉野へ向かう。
吉野口着。 トイレに寄ってく。 久しぶりに”汲み取り式”に入った。 この”芳ばしい”は懐かしい。

吉野山に到着。 ケーブルに乗って上の方へ。

金峯山寺
山門
 

蔵王堂
  と
桜の花

09:30







山の上にそびえ立つこの建物は、金峯山寺。 役の行者の創建とされる。
ここ金峯山を修験道の修行の場とし、桜の木で蔵王権現を勧進したのが蔵王堂である。
拝観料を払って、お宝を見学する。
カラフルな”神変大菩薩”像(下)を見るが、両脇には前鬼後鬼はいない。
せっかく鬼を見に来たのに。 




10:10

蔵王堂周辺をブラブラ。 さすが花見シーズン、人の出が多い。 せっかくの景色が人で台無し。
お土産屋の誘惑に抗いながら参道を進むと、ふと寺院の中の桜が目に付いた。 門をくぐると、見事な枝垂れ桜である。 
そこは桜本坊。 天武天皇が桜の吉夢を見て建てたとされる。 役の行者勧進の聖天さまを祀る。 

蔵王堂の
役の行者(左側)

銅鳥居の
役の行者
(右側)

  

桜本坊
「門から見える桜」

桜本坊
「夢見の桜」
 

10:45



11:10



竹林院前。 バスがあるというので乗っていく。

奥千本口からだいぶ上方へ歩くとみすぼらしい神社が見えてきた。
金精明神を祭る金峯神社である。 
こんな山ん中まで、藤原道長が参拝に来ていたというのだから、驚き。

神社のすぐ脇から、「義経の隠れ塔」へ行ける。 拝観料を払ってと思ったら、
「解説なしで見るだけなら」
とロハにしてくれた。
お礼にお守りを買ってあげる。
金峯神社
「義経の
隠れ塔」



11:35

小休止して出発。 下りで楽である。

あたりの観光客と一緒に高台に出て桜を眺めて、さて下山となると、みんな帰り道が分からないでいる。 かくいう私も分からない。
「私はこっち」とばかりに皆とは違う道を選んだ。
また、誰もいない道を行くことに。




12:20

途中、牛頭天王社跡に出会う。 誰もいない山ん中にポツンと石碑があるだけ。
孤独な散歩から抜け、ようやく人のいる参道に出る。 すぐ横に吉野水分神社が見えた。
春日造りの堂々とした建物である。
お守りを買ってブラブラ拝観。 ちょっと狭いが、桜もあり実に風情がある。
吉野水分神社







吉野山駅までだいぶあるが、桜など眺めながら歩いて行く。
気温が高くなってきた。 着ていた革のジャケットの中が蒸れてきた。
足も痛くなってきた。 

駅に近づくにつれて、あたりは宴会モードに突入。 日が高いので、まだ酔っ払いは出現していない。
12:45

駅に到着。 次の特急まで20分あるが、キップ買う行列がすごい。
とりあえず、近くの売店お土産を買いに向かう。
会社へは桜羊羹が良かったのだが、切るのが面倒なので、一個一個になってる桜&葛のお菓子を。 自分へはやはり桜羊羹、桜色の濁り酒、そして
和漢胃腸薬・陀羅尼助丸。
藤井利三郎薬房
「陀羅尼助丸」


    フジイ陀羅尼助丸
役行者が考案したとされる。
昔わたしが作った”アロエ丸”によく似たにおいがする。
      【効能・効果】
食欲不振(食欲減退)、胃部・腹部膨満感、消化不良、胃弱、食べ過ぎ、飲み過ぎ、胸やけ、胃もたれ、胸つかえ、はきけ、(むかつき、胃のむかつき、二日酔い、悪酔いのむかつき、悪心)、嘔吐、げっぷ、胃部不快感、胃重
13:07

桜味のアイスクリームを舐めながら、ップの購入で並んでいると、どうも次の特急の券がなくなりそうだ。
まもなく鈍行列車が発車する。 思い切って各駅列車に乗り込む。
電車の中で疲れた足を休めよう。

 

14:20
JR橿原神宮駅に到着。
この地には8年ぶりだろうか?


よ  し  ぬ  も  そ  び  な  に  の  し  い  こ  か  も  く  る  ぬ  宿  り  里  
し  く  が  て  む  と  す  て  い  ミ  ふ  れ  た  し  ね  の  ま  を  ぬ  へ  
の  お  る  る  れ  な     ハ  わ  て     な  み  て  ず  も  て  こ     く  
ゝ  ぼ  と  も  バ  し  あ  い  れ     蔵  ん  く  そ     の  ふ  ふ  あ  だ  
里  ひ  か  の        る  や  に  ひ  王  よ  む  の  よ  さ  も     や  れ  
の  け  た  ハ  秋  ま  ハ  し  ハ  ろ  権  し     火  ひ  へ  の  そ  し  バ  
花  れ  る  万  よ  た  わ  き  い  ひ  現  の  な  影  の  な  を  の  の     
が  バ  あ  の  く  物  ら  も  ま  て  の  ゝ  に  に  ま  け  し  よ  軒  日  
た  つ  は  わ  ミ  種  ハ  の  も  盛  桜  さ  ぞ  い  ハ  れ  き  ハ  に  ハ  
み  と  れ  ざ  の  い  の  ゝ  よ  た  の  と  と  と  翁  バ  て  板  立  西  
   に  に  わ  る  れ  も  家  し  ま  ち  の  問  ち  の  い  臥  敷  て  の  
   せ  も  ひ     て  て  の  の  ふ  る  花  へ  ゐ  松  と  す  の  一  山  
   が  や  を  こ  ま  あ  業  ゝ     を  筐  ば  さ  を  や     上  夜  に  
   む  さ  ま  れ  き  そ  と  里  そ  お  と     き  と  す  夜  に  の  い  
                                                            

 

橿原神宮

14:20





14:40
橿原神宮駅から向かう目的地は、久米寺。 ところがいきなり道に迷ってしまう。 痛い足を引きずりながら、暑さでくたくたになりながら。

桜のきれいな境内である。
聖徳太子弟・来目皇子の建立とも、久米仙人の建立ともいわれる。
久米寺
   と
  桜

久米寺
「久米仙人」

 

風景を撮影して、さてお守りでも買おうかと売店に向かうが、受付嬢がいない。 数人、何かを買うんでたむろしている。 私も仲間入りして15分程待っただろうか、婆さんが受付に座り込んだ。 待っていた人たちは、七福神巡りの御朱印をもらいに来たようだ。
あたりでサイレンが聞こえる。 なんであろうか?

15:00


記憶によれば、橿原神宮は”筆”に関して「なにかあった」ような気がする。
仕事柄、筆記具に関心を示す体質になってしまったため、一度橿原神宮へ来たかったのだ。

橿原神宮は神武天皇を祀るが、創建は新しく明治23年。



神宮と名の付くだけあって、だだっ広い。 しかし神域とは思えない。 新しいのである。
境内をブラブラし、お守りを買い、社殿を見、そして引き上げる。
非常に疲れている。
橿原神宮



15:45



16:00
JR橿原神宮駅から今日の宿のある新大宮へ向かう。

西大寺駅で下車。 平城京・朱雀門跡を見るつもりで。 
ところが足は痛いわ、汗だくになってるわ、疲れてへとへとである。
すぐまた電車に乗って、新大宮へ。
16:30




17:30

新大宮からすぐのホテルにチェックイン。 とりあえず、靴を脱いで疲れた足を癒す。

思えばお昼ご飯も食べていなかった。
夜食を探しに外へ。 近くのラーメン屋で腹ごしらえ。 このラーメン屋、東京にもチェーン店がある。






19:00


思えば数年前この新大宮に泊まった事があったのだ。 なんとなく見覚えのある街並み。 すっかり忘れていた。

早いが消灯。 疲れているせいか、すぐ寝付いてしまった。
お風呂にも入らずに。

春日大社


っ  沢  や  唐  こ  会  王  す     自  が  の  後  人  そ  神  し  は  鎌        
て  の  が  を  の  し  が  る  と  分  鹿  春  の  の  こ  に  よ     倉        
昇  池  て  断  有     一  と  い  は  野  日  今  入  へ  参  う  唐  時        
天  の  社  念  様  法  族  突  っ  明  苑  山  は  唐  年  詣  と  ・  代     謡  
し  青  人  す  を  会  を  然  て  神  で  が     渡  老  す     天        曲  
た  波  の  る  見  を  引  大  消  の  あ  霊  我  天  い  る  暇  竺  京        
   を  化     て  聴  き  地  え  使  る  鷲  が  を  た     乞  に  都     春  
   け  身     上  聞  つ  震  失  い     山  国  諌  社     い  渡  栂     日  
   た        人  す  れ  動  せ  時     で  が  め  人     の  っ  の     竜  
   て  春     は  る  て  し  た  風     あ  仏  て  が     た  て  尾     神  
      日           春  て     ・     り  跡     現     め  仏  の        
   大  竜     つ     日        秀        で  釈  わ        教  明        
   蛇  神     い     野  八     行     春     迦  れ     春  を  恵        
   と  は     に     に  大     な     日  奈  入        日  修  上        
   な  猿     渡     参  竜     り     野  良  滅  上     明  行  人        
                                                               

夜中




04/07
07:00
ふと、目を覚ます。 奈良TVで深夜にやってる「新スタートレック」を見てしまう。 一度見たストーリーだったが。


起床。 ぐっすり眠っていたようだ。天気予報をみると今日は暑くなりそう。
革のジャケットどうしよう。
奈良公園
「参道」

08:10



08:45
 

チェックアウト。 
近鉄線に乗って、奈良・春日大社へ。

朝の奈良公園は、とてもすがすがしい。
神鹿の写真を一枚、と思ったのだが、何度やってもそっぽ向いてしまう。

奈良公園
「しかと」
09:10
 
春日大社宝物殿では若宮古神宝特別展示が行なわれていた。
見学者は私と老夫婦のみ。
今回の目玉は”毛抜き形太刀”と呼ばれる螺鈿が埋め込まれた美しい太刀である。 毛抜の由来は、柄の部分の空洞が”毛抜き”に見えるからという。 そうかなぁ〜
10:00
 
外人の団体さんと年寄りの団体さんに合流しながら、春日大社の南門をくぐる。 あたりをうろうろしながら、本殿に入る受付を探すが、見当たらない。 とりあえずお守りを買っておく。
しかたなく裏口から出ると、巫女さんがお掃除していた。
いい風景だ。
春日大社
南門

本殿裏には、一言主を祀った小さな神社があった。
今回の旅では、葛城の一言主神社に行きたかったのだが、疲れていたためパスしてしまったのだ。 以前行った時は夕闇の中だったので、よく見えなかったのだ。
10:20
参道から外れると、人通りがまったく無くなる。 するとまた、小さな神社に出会う。 
本宮神社は、春日大社第一殿・武甕槌命が白鹿に乗ってこの頂上に天降られた神跡であるという。
その隣の若宮神社は、1003年に小蛇の姿で出現した御子・天押雲根命を祀る。
春日大社
本宮神社


昨年見てきた京都・吉田神社は、ここ春日大社の分社であるという。
では春日大社は? というと、常陸・鹿島神宮と下総・香取神宮から迎えた神々であるとする。
一度、鹿島・香取両神社へ行ってみなくては。

  痛い足を引きずりつつ、新薬師寺と元興寺のある方へ向かう。

新薬師寺と元興寺


      の              奴  翌  げ  明  っ  童  現  そ  出  彼  が  頃  そ  雷  
      ち              を  日  て  る  た  子  れ  の  た  の  あ  寺  の  に  
      に     そ  す     埋  そ  い  く     は  て  後     童  っ  の  子  授  
      出     の  な     め  の  っ  な     す  堂  鐘     子  た  鐘  が  か  
      家     悪  わ     た  血  た  っ     か  に  堂     は     堂  元  っ  
      し     し  ち     辻  痕     て     さ  入  の     自     の  興  た  
      て     き  知     に  を     鬼     ず  っ  そ     ら     童  寺  子  
      名     奴  り     た  た     は     鬼  て  ば     こ     子  の  供  
      を     の  ぬ     ど  ど     髪     の  き  で     の     が  童  が  
      道     霊        り  る     を     髪  た  隠     鬼     毎  子  い  
      場     鬼        着  と     引     を     れ     を     晩  に  た  
      法     な        い        き     捕     て     捉     死  な     
日     師     る        た  そ     は     ま     い     え     ぬ  っ     
本     と     こ           の     が     え     る     よ     と  た     
霊     号     と           寺     さ     て     と     う     い  が     
異     し     を           の     れ     引           と     う        
記     た                 悪     て     き     鬼     申     事  そ     
                        い     逃     ず     が     し     件  の     
                                                               

10:40

拝観料を払って新薬師寺に入る。
桜の風景が実に美しい。
今日の夜の行事、”おたいまつ”のための松明も用意されていた。 見に来たいのだが、今日東京へ帰るのである。 残念。
私はココに来ては、十二神将を見て行くのを常にしている。

新薬師寺
 

元興寺
MAP

10:50
元興寺に到着するや、受付のおばさんに、
「もうすぐ住職の話が始まるので、みんなに混ざって聞いてって」
と急かされる。
団体さんが本堂に集まって待っているらしい。 私は関係ないのだが。
まぁ、話が聞けるなら、と本堂に上がって静かにしている。
11:10
話が長そうなので、そっと出てしまう。
みんなが拝聴してるうちに宝物殿を見学。 中はだれもいない。
先のおばさんにも説明されたのだが、元興寺は日本最古の伽藍建築である飛鳥寺「法興寺」であったという。
昔の境内はMAPの赤線内であった。
現在の元興寺と呼ばれる所は、中央の丸の中である。
元興寺
「極楽坊」









11:30
昔の飛鳥寺の名残として、屋根瓦を見てみろと言われた。 茶色・灰色・白とまだらになっているのは、昔の瓦をそのまま使っているからだそうだ。
元興寺(ガコゼ)と呼ばれる鬼について何か無いかと思ったが、特になし。
このあと、不審ヶ辻子町へ行ってみるが、やはり史跡はない。
元興寺
「極楽坊」
屋根瓦



11:47





12:50

奈良公園を後にする。 
途中、母に頼まれてた奈良漬けを購入。 重い荷物を背負いながら、近鉄奈良駅から京都へ向かう。

新幹線の指定と取り、東京へ向かう。
電車の中で、”おいしくない”駅弁を食べつつ、PocketPCに今日の旅の模様を記載する。
16:10

やっと帰宅する。
しばらく痛む足を休めて、今度は実家に戻らなくては。 お土産もあることだし。



作成日2001/05/05