真夏の紅葉狩り放浪記

平成14年08月12日 

 謡   ん な 醉   の 破 重 り 盃 常 心 茂 見 處 を 天 さ 
 曲   と く 亂 維 罪 戒 な は に に を も る が 燒 が て 
     す 淺 れ 茂 も の る 二 向 手 亂 自 に ら く 詠 か 
 狩     ま た 遉 是 随 が 盃 か だ す ら   と   み の 
 紅     し る に よ 一 常   え に も 興 比 て と し 女 
 葉     く 姿 本 り に な 二 ば 觸 の に 類 面 い   様 
       て   性 ぞ 數 り 盃 心 れ 酒 入 稀 白 ふ 林 々 
       他 我 を 出 へ   よ 自 じ よ り な く 句 間 維 
       目 な 失 来 て さ り ら と り ぬ る   を に 茂 
       も が は る   れ は 變 思 甚   艶 猶 謳 酒 を 
       恥 ら ず と 邪 ば 三 り ひ し そ 色 此 出 を 饗 
       し た   説 妖 佛 盃 て 居 き も な 女 で 煖 応 
       と と か き 妄 も と   る は そ れ 房 た め し 
       て へ や 給 語 飲 次 一 者 無 も ば の る て   
       去 ん う へ な 酒 第 盃 も し 人   姿 も 紅 白 
       ら 方 に り ど を に よ     の 維 を   葉 楽 

 

鬼無里村
7:03







8:50

上野発新幹線に乗り、 謡曲『紅葉狩り』の舞台のひとつ・鬼無里村へ。
長野へは今まで行ったことがなかったのだが、GWの諏訪に続いて今年二度目の長野訪問である。

長野駅着。 鬼無里行きのバス出発までまだ50分あるので、駅周辺をうろうろと。
9:45




10:50

鬼無里村行きバス出発。  乗客3人。 途中乗客は増えたが、終点に着く頃には私のほか年寄り2人だけである。

鬼無里村終点。
昔は”水無里村”といったそうだが、鬼女紅葉退治以降、”鬼無里”となったそうな。 まず目の前の鬼無里神社へ。
鬼無里神社


  

閑散とした、人気のない神社である。
”湖底が地上に現れて魚山が出現し、その頭部立山に竜神の精を祀って諏訪明神を招請したもの”との事。
立て札によれば、こんなところへも、坂上田村麿が祈願に来たらしい。
平維茂も紅葉退治の祈願に来ているらしい。

鬼無里神社 石碑

鬼無里神社
庚申碑

11:20

地図を持って来なかったため、どの方角に何があるのか解らずしばらくうろうろしてしまった。
ようやく道案内を見つけて、松巖寺にたどり着く。 ここは、紅葉の守護仏地蔵尊を祀った寺院で、「鬼立山地蔵院」といったのが起源。 立て札には、”鬼女紅葉菩提寺”とある。

松巖寺
看板

松巖寺
木灯篭


 
境内に入ると、灯火部が木製の燈篭がある。 これは珍しい。 灯を入れると、木枠まで燃えてしまうんでは?
また境内には、紅葉の守護仏地蔵尊と木曽義仲の文殊菩薩を納めた観音堂や、狛犬ならぬ、こま馬の像や、「一億萬返塔」?や、和算家寺島宗伴の墓、鬼女紅葉之墓がある。
 

 

松巖寺本堂に近づくと、扉は自動ドアになっており、ガラガラ〜っとすごい音と立てて開いた。
中は無人で、「紅葉の絵巻があるので、どうぞ上がって見て下さい」とあるが、ちょっと躊躇してしまう。 
なんとなく後ろめたいものがあるので、すぐ出てしまった。

松巖寺
「一億萬返塔」(左)
「和算家の墓」(右) 

 

11:40
 
松巖寺からほど近くに、鬼無里村歴史民俗資料館がある。 ここは、山国文化伝承館と山村文化伝習館の三つが建物同士合体して出来ている。
入場料¥300払って、見学。
中には、巨大な山車が展示してあり、先に行った鬼無里神社のもの・白髭神社のものほかいくつか見られた。
12:00


12:33


 
白髭神社へ向かう。

田んぼのあぜ道を進み、ようやく白髭神社に着く。
天武天皇の遷都の鬼門の守護神として創立(685)されたとある。 ここへも平維茂が鬼女退治祈願(989)に来ているらしい。
白髭神社
 


 
薄暗い境内。 閑散としている。
写真を撮っていると、蚊が寄ってくるのですぐ退散。
1:05
 
やはり本堂に入って調べたいという欲求が勝ったため、帰りのバスを一時間遅らせて、松巖寺に戻る。
自動ドアをくぐり、誰もいない本堂に天井絵を眺めながら上がり込むと、欄間の裏に『紅葉』絵巻が飾ってあった。
薙刀手にし、もろ肌脱いだ紅葉の絵であった。



1:15





 
お守りと「松巖寺縁起」の本を購入。
無人なので、お金を盆において去る。
帰り際、タクシーに乗った住職らしき人物とすれ違う。

次のバスまで40分もあるので、近くの川原へ降りて、おにぎりなどほおばりながら小休止。
 
松巖寺
釜岩紅葉大禅定尼位・鬼女紅葉の墓
 

松巖寺
鬼女紅葉の家臣の墓
 

2:00
 
長野駅行きバスに乗り込む。 乗客は私のほか年寄り2人だけ。
最後部座席に座っていてしばらくして気付いた。
バスに中にクマバチが侵入していたのだ。 ブンブン言っている。
痛いくらいなら我慢できるが、ショック死があるとも聞く。
恐怖の小一時間をバスで過ごす。 
2:45
 
善光寺大門前下車。
無事降りられて、ホッとする。


 


救 遠 
ひ く 
給 と 
ふ も 
は 一 
弥 度 
陀 は 
の 詣 
誓 れ 
願 善 
  光 
  寺 
    
    

善光寺

2:45
門前からまっすぐ本堂に向かう。
なんとなく、風意気が浅草の仲見世通りに似ている。
本堂の前の門を見上げると、
”善光寺”の三文字が燦然と輝いて見えた。
すげぇ。
善光寺
門前通り

善光寺
門1

善光寺
門2

3:20
 
煙の焚かれた本堂でしばらく過ごし外に出ると、雨であった。
みな急ぎ雨宿りをする。 境内には人通りがなくなった。
寺の縁側でぼんやり境内を眺めていると、見覚えのある、岩塊を発見。
ここにもあった、”さざれ石”。
雨で人通りがなくなる境内
 

善光寺
さざれ石






3:50
お守りも買ったし、雨も小降りになってきたので、そろそろ帰ることに。
長野駅に向かって歩いていると、お腹が痛くなってきた。
駅手前の西友を見つけ、トイレに駆け込んで、ホッと一息。
ウチのウォシュレットと同じ型式だったので、もう一息。




4:12



 
駅に着いて切符を求めるが、指定がいっぱいであった。 しかたなくグリーン車を購入。
長野駅出発。 なんとグリーン車は私と斜向かいの女性の二人だけ。 車掌もおらず、しかも連結部の窓は目隠ししてある。
ちょっとドキドキである。










6:00頃
販売員さんがおしぼりとウーロン茶をくれた。 もちろん無料である。 グリーン車っていいなぁ。

軽井沢あたりからドシドシと乗り込んできた。 ほんの一時のしあわせであった。

東京に到着。




作成日2002/11/29